形見分けの方法・時期・マナー|遺品整理&遺産分割は先に済ませよう!トラブルに発展する注意点とは?
供養のひとつとして葬儀後におこなわれる形見分け。そんな形見分けについては、頻繁におこなうことではないため知識があまりないという方も多いでしょう。
しかしじつはこの形見分けには、マナーや適した時期、また注意点など、おこなう上では知識として身につけておいた方がよいことが多くあるのです。そこで本記事では、そんな形見分けに関する情報をまとめてご紹介していきます。
1.形見分けとは? 遺品整理が大切!
まずここでは、形見分けとはそもそもどのようなことなのか、また実際におこなう時期としてはいつがよいのかなどの、基本的な情報を確認していきましょう。
故人と親交の深かった人に遺品を贈ること
形見分けとは、故人と親交の深かった人に遺品を贈ることです。目的は、故人の愛用品などを通して思い出を分かち合うこと。
そのため故人を偲ぶ気持ちがあれば、親交の深かった人という対象者は誰でも問題ありません。家族はもちろん、その他の親族や友人などでもよいのです。
ちなみに形見と呼ばれるのは、上記のような愛用品というものなどによって故人の姿形が思い浮かぶということから来ています。そしてそれを親交の深かった人で分かち合うため、形見分けと呼ばれるのです。
なおこの形見分け、必ずおこなわなければいけないものではありません。なかには故人を思い出すことがつらい場合や、そもそも形見分けを希望しない場合もあるはず。そのような際には無理におこなう必要はないため、このことは覚えておきましょう。
四十九日法要後におこなうことが一般的
形見分けは、おこなわなければいけない時期が決められているわけではありません。しかし仏式においては、基本的には四十九日法要後におこなわれることが多いです。これはつまり、忌明け後にあたります。
なおこの時期に形見分けをおこなう場合が多いことには理由があり、それが親族が集まることのできる日であるため。形見分けは、自分ひとりではなく親族と相談しながらおこなうことになります。しかし、このように集まることのできる日というのはなかなかないでしょう。そのため、上記の時期のタイミングで形見分けをおこなうことが多いのです。
ただし仏式の形見分けの時期は、細かくは宗派などによって異なることもあるため注意しなければいけません。とくに故人が信仰深かったといった場合には、事前にしっかりと確認をしておくようにしましょう。
【注意】形見分けは遺品整理をしっかりおこなうことが大切
形見分けをおこなう際には、まずどの遺品を形見分けの品物とするのかを決める必要があります。なお、ここには注意点があるのです。
それが、自分ひとりで勝手に形見分けの遺品を決めたり、ましてや実際に形見分けをおこなったりしてはいけないということ。というのもこれは、親族とのトラブルの原因になってしまうことがあるためです。
例えば、勝手に自分ひとりで形見分けをして、ある遺品をもらったとしましょう。しかし、その遺品を他の親族も形見分けとして希望するものだったとします。この場合には、その遺品の差し戻しを要求されることも。その結果、親族とのトラブルに発展してしまうこともあるのです。
このようなトラブルを回避するために大切となるのが、親族を交えながら何を形見分けの品物とするのかを決めるために遺品整理をしっかりおこなうこと。遺品整理とは、故人の残したものを「相続財産として残すもの」「形見分けとして残すもの」「処分するもの」に仕分ける作業のことです。この作業をしっかりおこなうことで、上記のようなトラブルを回避することができるでしょう。
■遺品整理のやり方についてはコチラをチェック:遺品整理を自分でおこなう手順|メリット・コツ・注意点も紹介!自分でおこなうのが難しいなら業者依頼も考えよう
とはいえ、遺品整理のために親族が集まれる日がなかなかなかったり、そもそも遠方であるということから共同で作業をおこなうことが難しかったりということも実際に多いです。また仮に親族が集まることができたとしても、そのスケジュールが数日程度である場合には注意が必要となります。というのも遺品整理というのは非常に時間がかかることがあり、場合によっては数週間程度を要することもあるため。
ではこのような場合どうすればよいのか、そんなときは遺品整理業者へ相談してみましょう。遺品整理業者は、名前のとおり遺品整理に関するプロです。このプロのアドバイスのもと遺品整理をおこなうことで、親族との円滑な連携や時間の短縮ができることもありますよ。
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2.形見分けの時期は四十九日法要後以外にも!宗教によって異なる?
形見分けをおこなう時期に決まりはないため、基本的にはいつでも問題はありません。しかし、仏式に関しては四十九日法要後におこなう場合が多いです。
では他の宗教においてはどうなるのでしょうか。
じつは他の宗教においては、形見分けに適した時期というのは変わってくるのです。ここでは、そんな宗教別に適した形見分けの時期をご紹介していきます。
神道の場合
神道の場合に関しても、忌明け後に形見分けをおこなうということは基本的には同じです。ただし、その日数が異なります。
神道における忌明けの儀式は、三十日祭と五十日祭です。そのため、このいずれかの忌明け後に形見分けをおこなうということになります。
キリスト教
キリスト教については、そもそも形見分けという慣習がありません。しかし、日本においては1か月後におこなわれることが多いようです。これは、召天記念日にあたります。
ちなみにキリスト教というと、カトリックとプロテスタントがありますが、形見分けに関してはこの点は大きく関係してくるポイントではありません。そのためキリスト教の形見分けは、上記の時期のタイミングにおこなうものと覚えておけばよいでしょう。
3.形見分けは遺産分割後に!代表的な品物例をご紹介!
形見分けとして贈るものは遺品整理をおこなって決めることになりますが、ここにはもうひとつ踏まなければならないステップがあります。それが、遺産分割。
相続人でおこなわれる遺産分割協議にもとづき故人の残した財産を受け継いだり相続したりすること
そもそも形見分けの品物は、遺品整理によって仕分けられた経済的価値のないものとなります。このようなものに関しては、一般的には相続の対象外となり上記の遺産分割の対象にもなりません。ただこのことは、形見分けの品物とするものが経済的価値のない場合です。
なかには、経済的価値のあるものを形見分けの品物とすることもあるでしょう。この場合はたとえ形見分けとしての遺品であろうと、相続の対象となり遺産分割の対象となるのです。
そのため経済的価値があるものに関しては、しっかりと遺産分割協議をおこなう必要があります。そして、ここで相続人から合意の取れたものを形見分けの品物とすることができるのです。
前述でも触れましたが、形見分けを勝手にひとりでおこなってはいけないことは、このことにも関係しているのです。なお厳密にいうと、法律という点から見たときには故人が残したものはすべて相続の対象、遺産分割の対象となります。そのため、経済的価値の有無に関わらず遺品をどうするのかということはしっかりと遺産分割をおこなって決めることがよいといえるでしょう。
ただここで、形見分けとして許容される経済的価値というのは具体的にどの程度なのかという疑問を抱く方も多いかもしれませんね。なおこのことに関しては、明確な基準はないようです。そのため、実際に裁判に至るケースもあります。
例えば、故人の相続財産として不動産を含め多額であるなか、背広の上下やスプリングコート、時計などを受け取ったというケースにおいては、相続の対象とは認められていません(山口地裁・昭和40年5月13日)。また、着古された上着とズボンを形見分けとしたというケースにおいても同様に、これらは経済的価値がないとされています(東京高裁決定・昭和37年7月19日)。
ただ上記のことはあくまでも参考程度に考えましょう。実際のそのものの価値というのは、専門家にしかわからない場合もあります。そのため遺産分割をしっかりおこなうとともに、不安な遺品があれば鑑定士をはさんでその価値を調べてもらうようにしましょう。
形見分けの代表的な品物
形見分けの品物に関して、結論からいうと基本的にこれは何でも問題はありません。前述のように、遺産分割協議にて相続人から合意が取れたものであれば形見分けの品物とすることができます。
ただそのなかでも、以下のようなものが代表的な品物としてあげられるため、参考にしてみましょう。
→時計・文具
故人が使っていた文具や時計などの日用品は、形見分けの品物としてよくあげられるものとなります。またこれらの品物は、年齢性別問わず使用しやすいということもあり、実際に形見分けとして贈ると喜ばれることも多いです。
→衣類・鞄類
衣類や鞄類は、女性の場合に多くあげられるものです。なおこれらの品物は、まだ使用することができるという場合もあるでしょう。その場合は、施設へ寄付するといった選択肢もあります。
→宝石・貴金属類・アクセサリー類
形見分けの品物のなかでも人気のあるものとしてあげられるのが、宝石や貴金属類、またアクセサリー類です。またこれらの品物に関しては、故人が身につけていたというイメージが残っていることも多いため、思い出を偲ぶものとしてもよいでしょう。
→蔵書・コレクション
故人の趣味だった蔵書やコレクションなども、形見分けの品物としてあげられることが多いです。またこれらに関しても衣類や鞄類同様、寄付をするという選択肢もあります。
4.形見分けのマナー
形見分けをおこなう上では故人と親交の深かった人に遺品を贈ることになるわけですが、じつはここにはマナーがあるのです。場合によっては失礼に、また迷惑になってしまうこともあるため、形見分けに関するマナーはしっかりと覚えておきましょう。
目上の人へは基本的には贈らない
形見分けというものは、基本的には親から子へ、上司から部下へというように立場が上の人から立場が下の人へ贈られるものです。つまり、亡くなった子供の形見分けを親がもらうということは基本的にはないということになります。
そのため、基本的には目上の人から目下の人へ贈られるものと頭に入れておきましょう。とはいえ上記のことは基本の形であって、最近ではそのスタイルは自由になりつつあります。つまり、立場などにとらわれることなく形見分けを贈ることもあるということです。
形見分けを贈るときに包装はしない
人にものを贈る際には、ラッピングなどのように包装をすることが多いでしょう。しかし、形見分けに関しては異なります。
というのも、基本的に形見分けの品物には包装はしないのです。
形見分けというものはプレゼントではありません。そのため、包装はしないものであると覚えておくようにしましょう。
なお、むき出しの状態では贈りにくいという形見分けの品物もあるかもしれませんね。このようなものに関しては、半紙などに軽く包む程度でよいでしょう。
ちなみに、基本的に形見分けは手渡しにて贈ることになるものですが、遠方であるなどの理由からそれができないこともあります。この場合、上記のように軽く包むだけでなく梱包などを必要とすることもありますが、これは問題ありません。
形見分けの品物が壊れてしまわないようにして贈るようにしましょう。なおその際には、形見分けの品物である旨を添えて贈ることが望ましいです。
きれいにしてから贈る
形見分けの品物のなかには、汚れていたり破損していたりするものもあります。しかし、それをそのまま形見分けとして贈ることは原則ありません。
もしそのようなものを形見分けの品物として贈りたい場合には、きれいな状態にしてから贈るようにしましょう。とくに、衣類や鞄類などは汚れが、また時計やアクセサリー類などは破損してしまっている場合が多いです。
そのためこれらのものに関しては、クリーニングや修理をおこなってから贈るようにしましょう。
5.形見分けをおこなう上での注意点・トラブルまとめ
ここまでの内容においても形見分けには、遺品整理と遺産分割をしっかりおこなうことやマナーがあることなど、気をつけなければならないことがありましたね。しかし、形見分けをおこなう際にはまだ他にも注意点があるのです。
そこでここでは、そんな注意点についてご紹介していきます。また実際に起こりうるトラブルにも触れていくので、しっかりと確認しておきましょう。
経済的価値のある形見分けは相続税・贈与税の対象
まず形見分けをおこなう際には、経済的価値のあるものに関しては相続税と贈与税の対象であるということに注意が必要です。
前述でもすでに触れていますが、故人の遺品において経済的価値があるものに関しては相続の対象、遺産分割の対象となります。そのため相続人がこのような遺品を、たとえ形見分けの品物として受け取った場合でも、これは相続税の対象となるのです。なお、相続人以外の人がこのような形見分けを受け取った際に対象となるのが、贈与税になります。
上記のように、経済的価値のある遺品を形見分けの品物とする際には、相続税と贈与税に気をつけなければならないのです。自分にとってもそうですが、形見分けを贈られた人にも関係してくることであるため、十分に注意するようにしましょう。
ただし、相続税は故人の遺産総額が3,000万円+(600万円×相続人数)を、贈与税は110万円/年を越えなければ関係ありません。そのため、よっぽどのお金持ちだったという場合を除いて、該当するケースは少ないといえます。とはいえ、このような相続税と贈与税に関する注意点があるということは頭に入れておいた方がよいでしょう。
形見分けをおこなったら相続放棄はできない
故人の遺産は、プラスになる分もあればマイナスになる分があるということもあります。なおこのとき、マイナスの分がプラスの分を超えており相続をした場合には自分に不利益であるというケースもあるでしょう。
そんな状況を回避する方法に、相続放棄というものがあります。相続放棄をすることで、遺産を相続することはできなくなりますが上記のようなマイナスの分に関しても受け継がなくて済むため、故人が借金を抱えていたなどという場合にはよく検討される方法です。
そんな相続放棄を検討する場合に注意が必要となるのが、形見分けです。というのも、形見分けの前には遺品整理をおこなうことになるわけですが、これに関わってしまうと単純承認をしたとみなされて相続放棄をすることができなくなることがあるため。つまり、形見分けをおこなうと相続放棄をすることができなくなる可能性があるということです。
※単純承認:プラスの分もマイナスの分も遺産を相続することを認めること
ちなみに前述でもご紹介したように、経済的価値がない遺品であれば単なる形見分けとして許容されることもあります。しかし経済的価値があると判断された場合には、上記のように単純承認をしたとみなされるのです。
ただ、経済的価値の有無の判断は非常に難しいです。そのため相続放棄を考えているという場合には、形見分けはもちろん遺品整理もおこなわない方がよいといえるでしょう。
故人との関係性が不明瞭な人への形見分け
形見分けをおこなう際には故人と親交の深かった人は誰なのかを把握するために、人間関係をある程度調べることになります。しかし、これを完璧に調べることは難しいでしょう。
そんななかで、故人との関係性が不明瞭な人が形見分けとして換金性の高い品物を要求してくるということがあるようです。そして、実際に換金されてしまうということも。
そのため故人との関係性が曖昧な人からの形見分けの要求は、二つ返事で了承するのではなくしっかりと親族で相談することが大切となります。なお上記のようなケースにおいては、基本的に形見分けは贈らないようにすることが望ましいです。もし贈るのであれば、その人の連絡先などを控えておくようにしましょう。
ちなみに、上記のように形見分けをおこなうために故人の人間関係を調べる上では、手紙や日記などが手掛かりになることもあるため、これらは残しておくことがポイントとなります。
6.形見分けを受け取る側の豆知識|現金でもらった!処分したい!お礼は必要?
形見分けを贈る側にマナーや注意点など知っておくべきことがあるように、受け取る側にも持っておきたい知識はあるのです。ここでは、そんな形見分けを受け取る側における気になる以下のポイントについてご紹介していきます。
形見分けを現金で受け取る場合はどうする?
形見分けで受け取ったものが不要なので処分したい…
形見分けのお礼は必要なの?
形見分けを現金で受け取る場合はどうする?
形見分けの依頼を受けた場合、基本的には受け取ることがマナーとされています。しかし現金を形見分けとすることもあり、この場合にはその扱いに困ってしまうこともあるでしょう。
結論からいうと、この場合は断ってもよいとされています。なおもし受け取った際には、故人との思い出のものを購入するなどといったことに使用するのがよいでしょう。
形見分けで受け取ったものが不要なので処分したい…
基本的に形見分けの品物は故人を偲ぶものであるため、処分することはよくないこととされています。もし不要であるならば、受け取る際に断ることが望ましいです。
しかし、受け取ったものに関しては返すことができないため、自分で処分することになります。
なお処分する方法としては、お炊き上げでおこなうのがよいでしょう。これは、日本古来から存在する感謝を込めて供養をする方法です。ただこの処分方法では、ガラスや貴金属類など対応不可のものもあるため、この点は事前に確認しておくようにしましょう。
また処分方法としては、インターネットオークションに出品するなど、本当に必要としている人に使ってもらうという方法もありますよ。
形見分けのお礼は必要なの?
形見分けを受け取ったときには、お礼をすべきかどうかということが気になる方も多いです。確かにものをもらったということから、お礼をしなければならないようにも感じますよね。
しかし形見分けに対しては、もので返すというお礼はする必要はありません。形見分けとしての品物を大切に使用して、故人を思い出すということが最大のお礼といえるでしょう。
なおどうしてもお礼をしたいという場合は、お墓や仏壇にお供えをしたり手向けをしたりすることがおすすめです。
7.まとめ
故人を供養する形見分けにはおこなう上での適した時期があり、またマナーがいくつかあります。実際におこなう際には、本記事でご紹介したそれらの内容をぜひご参考ください。
なお本記事では形見分けの注意点にも触れましたが、なかでも遺品整理と遺産分割をしっかりとおこなうということは非常に大切なポイントです。これらを怠るとさまざまなトラブルに発展することもあるため、しっかりと守るようにしましょう。
とはいえ、故人のためにも形見分けをしたいけど遺品整理をおこなう余裕がないということもあるはず。そんなときには、全国の優良遺品整理業者を適正料金でご利用いただくことが可能な、私たち遺品整理士認定協会へぜひご相談ください。
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